CREという言葉は最近少しずつ耳にするようになってきました。
CREはCustomer Reliability Engineerの略で、2016年にGoogleが提唱した新しいエンジニアロールです。
このエントリではCREとは何か、CREを始めるには何をすればいいのかについて書いてみます。
CREのミッションは「技術を使って顧客信頼を最大化する」ことです。
従来のサポートエンジニアが要請に応じて動くという受動的なものだったのに対し、CREは能動的に顧客信頼を高めるように動きます。例えば、より信頼を高めるために自らシステム変更の提案を行うといったことです。
Googleのようなプラットフォーマーにとって、顧客のサービスが信頼を得ることは、実質的にプラットフォームの信頼を高めることにつながります。
CREとは、顧客がその顧客から信頼を得るのを助け、それを通じて自社の信頼を向上しビジネス価値を生むエンジニアロールと言えます。
前述の通り、CREはプラットフォームビジネスにおける顧客信頼向上のために生まれたので、本来的にはBtoBビジネスにおけるエンジニアロールでした。
しかし、BtoB文脈で生まれたCREを初めてBtoCに適用したのがミクシィCREです。
私たちCREチームにとってお客様とは、XFLAGのコンテンツを楽しんでくださっているユーザーであり、助けを必要としているユーザーに手を差し伸べるCSスタッフであり、アドレナリン全開のコンテンツをお届けするプロダクト提供者でもあるのです。ユーザー・CSスタッフ・プロダクト提供者という三者の信頼の最大化こそが、私たちCREチームのミッションです。
今ではBtoB、BtoCどちらのCREも多く見られるようになりました。
この流れは、CSという言葉がBtoB文脈ではカスタマーサクセス、BtoC文脈ではカスタマーサポートとなるように、ごく自然な流れだと思っています。
また逆説的ではありますが、CREが増えてきたことがそのニーズを証明しているとも言えるでしょう。
CREを始めるにあたって注意すべきことは、CREの活動が最終的にビジネスにとって価値を生むように業務を設計しなければならないということです。
CREが行った顧客信頼の向上が、定量的な成果として計測できるのが理想的です。しかし現実問題として、直接的に信頼度を測るのは難しいでしょう。
そこで登場するのがエラー予算の考え方です。エラー予算とは「どれだけエラーが許されるか」という信頼度を表し、事前に取り決めたSLO(サービスレベル目標)に基づいて算出されます。
例えばSREでは、SLOは「1ヶ月間99.9パーセントの稼働率」のように取り決められます。
この考え方をCREに適用にはどうすれば良いでしょうか?Googleは次のように述べています。
ユーザー エクスペリエンスにおいて最も重要な側面を SLO が象徴するようにしなくてはなりません。SLO が満たされるということは、ユーザーにとっても自社にとってもハッピーなことでなくてはならないのです。
このことを踏まえて例えばミクシィのCREでは、問い合わせ起因の技術調査(エスカレーション)について次のようなSLOを挙げています。
もしこれらの値を参考に SLO を設定するとすれば「3営業日以内解決率 50%」や「5営業日以内解決率 66.7%」となるでしょうか。
こういったSLOならば計測は比較的簡単です。重要なのは、計測可能でユーザーにとっても自社にとってもハッピーなSLOを設定するということです。
以上です。このエントリではCREとは何か、CREを始めるには何をすればいいのかについて書いてみました。
2020年9月27日 加筆修正
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