聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder: APD)とは、音として認識できているのに言葉として認識できない状態、もしくは認識するのに時間がかかる状態のことを言うそうです。
特徴として、人混みなど騒がしい場所で話しかけられたときに、何かを言われているのは認識しているが内容が断片的になってしまって把握できないというのがあり、下記のNHKの特集記事がマンガもあってわかりやすいです。
私がAPDを疑い始めたのは家族とのコミュニケーションでした。
妻はいろんなタイミングで話しかけてきます。私がトイレに入っているとき、シャワーを浴びているときもそうで、そういうとき私は決まって「えっ? なに!?」と大声で聞き返したり、断片的に聞き取れた単語から話を推測して返答するなどしていました。
トイレやシャワーのときはドアを隔てているのに加えて、ウォシュレットやシャワーの音といったノイズがあり聞き取れないからです。
あるとき、推測して返答した内容が大きくズレていて口論になりました。妻の「そんな話はしていないでしょ」に対して「聞こえないんだから仕方ないじゃないか」といった具合です。
いつもそういった状況で話しかけてくる妻を不思議に思って、シチュエーションを逆にして話しかける実験をしてみたところ、なんと妻はクリアに聞こえているというのです。
自分にとって会話できるから話しかけている。至極当然です。
実は、私の聞こえ方に問題があるのではないかというのは以前から話としてあったので、聴力の精密検査を受けたことがありました。結果は全く問題なし。
聴力に問題がないのに何故か聞こえないことがあるという疑問を抱えたまま暮らしていました。
冒頭に挙げたNHKの記事に出てくる下記の例が私の状態を的確に表しています。
例えば、次のようなことばも。「携帯電話はマナーモードにしていただくか電源をお切りください」。
にぎやかなレストランでは、人の話し声や食器の音にまぎれ、一部の音しかわからないというのです。
「携帯電話は・・・・にしていただくか・・・・切りください」
研究によると、このような症状を持つ子ども全体の2~3%いるとされています。
私は大人で、同じような状況を何度も経験しているので推測で補うことができますが、予測していないことには対応できず聞き返してしまいます。経験の少ない子どもでは、周囲から「話を聞いていない」と思われてしまうでしょう。
APDは認知度がそれほど高くないことに加え、「気にしすぎ」で済まされてしまうことも多いため、潜在的な人口はもっと多いかもしれません。
街のクリニックで必ず診断してもらえるというわけでもないので難しい問題です。
もし心当たりのある方は、家族や周囲の人とAPDについての情報を共有し、話し合ってみてください。
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