マネージャーの評価にチームメンバーからの評価も入れようという動きが見られるようになってきた。
この評価の方法は、評価される側である被評価者が、逆に評価者を評価するという意味で「逆評価」と呼ばれる。評価者・被評価者だけでなく、もっと広く同僚や関係部署などあらゆる方向からの評価も加える「360度評価」というのもある。
逆評価や360度評価は、いろんな人の意見を評価に反映させるので公平で良い制度のように思える。だからこそ、いくつかの企業が取り入れているのだろう。
でも本当にそうだろうか?今日は、行き過ぎた逆評価はチームを滅ぼすのでやるなら慎重にという話をしたい。
評価される側にとって、評価というイベントはどうしても給与を決定する「査定」の印象が強い。結果として給与の増減はあれど、評価は査定ではない。
評価の目的は、被評価者の成果を振り返り、課題をフィードバックし、被評価者に次の成長を促すことだ。一人ひとり成果と課題を洗い出し、どんなフィードバックを行うかまで考えるのは大変な時間と労力がかかる。
評価の時期になると、周りのマネージャーたちからは「時間がない…」「評価つらい…」といった悲痛な声が聞こえてくる。当たり前だが、チームメンバーの前ではそんな素振りは少しも見せていないだろう。
被評価者にとって評価は、不透明なプロセスを経て最終結果だけ通知されるので、査定のような印象を受けてしまうのも無理はないかもしれないとも思う。
ともあれ、評価は被評価者の成長を願ってのことであり、見えないところでマネージャーたちが苦労しているということは覚えておいてほしい。このことは下の記事を読んでもらえると雰囲気だけでもわかってもらえると思う。
逆評価に話を戻そう。
評価は被評価者の成長を第一に考え、多くの時間と労力がかけられていると説明した。逆評価も同じ目的を持ち、通常の評価に勝るとも劣らない時間と労力がかけられているなら問題はない。
でもそれは無理な話だ。もしそんなことをしたら評価の時期はほとんど一切の業務がストップしてしまうだろう。
ならば、できるだけ労力をかけないで逆評価するか?
それこそプロセスも根拠も曖昧な評価になる。
評価は主観を排除するために、客観的事実だけを集めなければならない。根拠が不十分だと主観が入り込む余地ができてしまうからだ。
もし、あなたが主観的な評価を突きつけられたらどうするだろうか?
当たり前だけど、マネージャーだってあなたと同じ人間だ。
チームが良い方向に向かわないことだけはわかると思う。
逆評価の問題点は、チームメンバーからマネージャーへのフィードバックが、直接マネージャーの評価に関わってしまうところにある。
マネージャーにフィードバックして気付きを与えるということ自体は、むしろ推奨すべきだ。
とはいえ、ここも注意が必要で、マネージャーにとって耳の痛いことをフィードバックしてもネガティブな評価をしないということを保証しなければならない。被評価者にとって、フィードバックを理由に自分がネガティブな評価をされるなら、言わないのが正解になってしまうからだ。
そしてフィードバックを受けるマネージャーは、フィードバックは評価ではないということを強く認識しておく必要がある。
フィードバックの内容をひとつひとつ慎重に検討し、思い当たる節があれば取り入れる。そうでなければ聞き流す。前提として、フィードバックには主観的なものも入ってくるためだ。
以上、逆評価の問題点と、逆評価に代わるフィードバック方法について書いた。
2020年9月22日 加筆修正
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