「その仕事、全部やめてみよう」は、一見すると仕事の無駄を省くためのテクニックについて書かれた本かと思ってしまいますが、そうではありません。
サブタイトルにもある通り、仕事の本質に迫る考え方について明快に書かれていて何度もハッとさせられます。
このエントリでは「その仕事、全部やめてみよう」の中から、個人的に気になったポイントをまとめます。
本書では、自社製品が他社製品に比べて劣っている点を「谷」、優れている点を「山」と表現し、「谷を埋めるな、山を作れ!」と説明しています。
谷を埋める、つまり欠点を補うことの何がいけないのでしょうか?
それは、谷を埋めたとしても、何の特徴もない平凡な製品が出来上がるだけだからです。
そして、人は欠点に対して強烈に引きつけられてしまうというのです。
自社製品に足りない点があるのは誰から見ても否定しようがない事実だ。ゆえに「谷」を埋めるプランは社内の賛同を得やすい。一方で「山」を作るプランは、実際にやってみないとどうなるか分からないので保守的な人から反対されやすい。
結果が誰にも予測できない挑戦的なプランよりも、欠点を補う保守的なプランは欠点が誰にでも見えるので賛同を得やすいです。
確かに、誰にでも見えることは賛同を得やすいけれども、必ずしもそれが正解ではないということには気を付けたいですね。
ドラクエでは「遊び人」が育つと「賢者」になることができます。でも、なぜ遊び人が賢者になれるのでしょうか?
私たちはしばしば「役に立たないこと」を「遊び」と呼びます。
本書では、スティーブ・ジョブズの有名なスピーチ「Connecting the dots」を例に挙げ、役に立つとは思えなかったものが、ある日突然、点と点が繋がってイノベーションが起きると説明しています。
「遊び」が「役に立つこと」になった瞬間です。
役に立つことが証明されていないものはしばしば「遊び」と言われる。
「遊び」とは、今の時点ではまだ役に立つことが証明されていないから「遊び」なのです。
こう考えると、遊び人がある日賢者になれるのも納得がいくのではないでしょうか。
会社員である限り、誰にでも上司がいます。部下にとって、上司は何を考えているかわからない存在です。
未知の存在に対して、過度に攻撃的になったり防御的になったりするのは、人の生まれ持った性質だと思います。
けれども、何を考えているかわからないとはいえ上司も人間なので、必要以上に敵対されるとモチベーションが下がります。
逆に、自分の価値が認められていると感じるとモチベーションにつながります。そこは上司も部下も変わらないということです。
だから上司に対して、「あなたの時代はそうだったんでしょうけど…」という態度をとるのはよくない。(中略)その人も何かしらのファインプレーをして現在のポジションに就いているのを忘れてはいけない。過去のファインプレーに対してもきちんと敬意を払い、称える気持ちを持って仕事をしたほうが、チーム全体が気持ちよく働ける。
もしかしたら、自分の上司はファインプレーをして来なかったという部下の人もいるかもしれません。しかし、それも「遊び」のように今は価値が見出せず、見えていないだけと考えられるかもしれません。
大事なのは、チーム全体が気持ちよく働くためにお互いの価値を認め合うことなのだと思います。
以上です。
このエントリでは「その仕事、全部やめてみよう」の中から、個人的に気になったポイントをまとめました。
仕事の本質に迫る密度の高い考え方がギュッと詰まった一冊なので、興味の湧いた方はぜひ手にとってみてください。
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